風の詩(うた)

ジェジュンとAB6IXを中心にK-POPの音楽レビューを書いています。読書レビューは過去記事です。

「悼む人」天童荒太 レビュー

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永遠の仔」「包帯クラブ」等の天童荒太直木賞受賞作品です。


永遠の仔」はずっと気にはなってはいたけれど未読、包帯クラブも機会があれば読みたいと思いつつ未読、遂に確か天童さん本人が「今までで一番書いて良かった」というようなことを語ってらした「悼む人」に巡り会えました。

上下2冊の厚めの文庫でしたが、毎晩読むのが楽しみでした。

 

ざっくりあらすじを書くと
主人公 静人は新聞等で知った見ず知らずの人の死をただ悼む旅を続けている。

理由はただ自分がそうしたいから。

人間不信に陥っている雑誌記者の蒔野(まきの)はそんな静人の行為に疑問を抱き身辺を調べ始める。

本人に頼まれたとはいえ夫を殺しで服役し出所した倖世が静人に連れ添っている。

癌の末期を静かに迎えようとしている静人の母、人とのコミュニケーションが苦手な静人の父、恋人の子を身ごもるが静人のことで受け入れてもらえず破談になる姉、その姉を見守る従兄弟。

静人と彼を巡る人々が織りなす生と死、愛と憎しみ、罪と許しのドラマです。

 

私は静人も好きですが彼の母親の生き方(死に行く姿)がとても素敵だと思いました。

静人の生き方は現実的ではないから真似はできませんが、母親のような生き方は誰もが心の持ちようでできるかもしれないと思いました。

静人の家族は皆 心がきれいで、今の日本人が忘れている日本独特の優しさみたいなものを持っていました。

すごく不思議な小説でしたが好みでした。