風の詩(うた)

ジェジュンとAB6IXを中心にK-POPの音楽レビューを書いています。読書レビューは過去記事です。

本の話。朝日新聞百年読書会(2010年)

朝日新聞 百年読書会

朝日新聞の企画で、作家の重松清さんをナビゲーターに読者が名作を読み継いできた「百年読書会」が3月で終了しました。実に面白くていい企画だったと思います。


作品は
 4月『斜陽』太宰治
 5月『楢山節考深沢七郎
 6月『あ・うん』向田邦子
 7月『坊っちゃん夏目漱石
 8月『俘虜記』大岡昇平
 9月『おとうと』幸田文
10月『砂の器松本清張
11月『ノラや内田百けん
12月『銀河鉄道の夜宮沢賢治
 1月『雪国』川端康成
 2月『オーパ!』開高健
 3月『金閣寺三島由紀夫

 

太宰から始まり三島で終わりました。もちろん漱石も入っています。
意外に思った作品は、内田百けんの「ノラや」と開高健の「オーパ!」でしたが、それはきっと私が知らなかっただけですね。

皆さんの感想や重松さんのナビゲートを読むと納得できるというか、この2冊も是非読んでみたいと思いました。


実は私は2冊目の『楢山節考』を探しているうちに置いていかれちゃって、『俘虜記』と『おとうと』も未読です。

今年はこれからこの未読の5冊を探し、読んでみたいと思っています。(後に「おとうと」は読みました)

 

重松清さんといえば、先日「十字架」で吉川英治文学賞を受賞したときに、「46歳を意識していた。やっと中上健二さんに追いついた」みたいなことを言っておられました。そのコメントの続きを抜粋します。


 「学生時代に「早稲田文学」で働いていたころ、酔いつぶれた中上健次さんを仕事場までおぶっていったことがある。作家としてデビューしてからも、そのすごさを知る中上さんに比べ「自分には表現しなければならない核がない」と思い、周囲にもそう言い続けてきた。

 「『ナイフ』や『エイジ』といった作品が評価されても、中上さんの『十九歳の地図』に比べたら、小さな世界を描いたぬるい作品だというコンプレックスが消えなかった。自分を支えているのは、たくさん仕事をしている、という一点だけだった」

あらためて中上健二の偉大さを感じ、「十九歳の地図」を引っ張り出してきて読んでみました。

私が持っていたのは文庫で昭和56年の初版本でした。私が中上健二さんに出会ったのはその頃でかな、「岬」の方が少し早かったかな。

約30年ぶりに読んだ「十九歳の地図」は面白かったです。やっとことの本質がわかったというか、そんな感じがしました。

公衆電話からかけるイタズラ電話が今なら携帯の「メール」になるのでしょうか、それ以外は古さを感じませんでした。

普遍的なテーマだからなんですよね。

やはりとても惜しい作家を早く亡くしましたよね、日本文学界は。
もっとも漱石はじめ著名な作家で長寿の方は少ないですよね。
十九歳の地図は短編集なので、他の作品も含めて後から感想を書きたいと思います。

2010-04-07