風の詩(うた)

ジェジュンとAB6IXを中心にK-POPの音楽レビューを書いています。読書レビューは過去記事です。

「リヴィエラを撃て」髙村 薫 レビュー

第46回日本推理作家協会賞・第11回日本冒険小説協会大賞受賞作品。

これはもう素直に頷けるのですが、それはさておき、ここ最近1,2ヶ月の間に新聞(朝日)で髙村氏の記事を2回は読んでいます。

その一つは新作『太陽を曳く馬』(新潮社)が刊行された際のインタビュー記事で、これは朝日以外、読売、毎日新聞などでも同じようにインタビューを受け、記事となっています。

ここで未読の新刊について書くのもなんですが、この新刊『太陽を曳く馬』は、『晴子情歌』『新リア王』と書き継がれてきた福澤一族をめぐる三部作の完結編だそうです。
来年中には是非この3部作品も読みたいものです。

来年と書いたのは、私は、上の3部作の前の合田刑事3部作のうちの「マークスの山」を読んだだけの髙村・初心者で、「レディ・ジョーカー」「照柿」も未読だからです。
でも今夏、この2冊は手に入れたので、おいおい読もうと思ってます。

おいおい読む??
はい、これが髙村作品を読むキーワードになろうかと思います。

簡単に言うと髙村作品は内容が難しく自分は半分も理解できているかどうかわからず、しかも長編ということもあり読むのに時間がかかる。」ので、一気に読むというわけには中々いかないのです。

この「リヴィエラを撃て」は上・下2冊読むのに1ヶ月位かかりました。 でも、読書の時間が待ち遠しくなるくらい楽しいものでした。

普通は、話の内容が理解できないのに読み進めるなんてことはできないものでしょう。でも髙村作品は、難解でも、非常に大事なことを語っていると思われ、それはいつかきっと私にもわかるときが来るのではないかともと思わせるのです。本当のところはわかりませんけどね。

また、それにもまして登場人物が皆、とても魅力的です。
今回は、ジャック・モーガンですね。若きテロリストです。
なにテロリストが魅力的と?
ジャックがテロリストとしての使命を持つ運命なんて、認めたくはないけれど、おそらく髙村氏も心を痛めている部分だと信じますが、わが息子のように愛すべきジャックのお陰で難解な箇所も読み進めることができました。

そして、スパイでありながら世界的なピアニストのノーマン・シンクレア。

ジャックは少年期に越してきた叔父の家の隣に住むシンクレアのピアノに魅せられて、いつしかシンクレアとは切っても切れない縁を持ちます。

物語は佳境。ピアニスト シンクレア最後のステージが東京で行われることになります。このステージは急遽決まったとなっていますが、むろん、極秘に、綿密に計画が練られていました。

この世のものとは思われないほど、美しく情熱的でかつ完璧な「ブラームス ピアノ協奏曲第二番変ロ長調」を演奏したシンクレアが、拍手が鳴る中、突然ステージを降り、「リヴィエラ」(と思われていた)こと田中壮一郎に向かう。

手には1本のそう白なバラを握っている。拍手が絶え、どよめきがそれに代わる。シンクレアの顔もそう白だ。

「地獄へ行け」

これは、この席にリヴィエラを座らせ、魂の限りを尽くしたブラームスを聴かせ、この一言を放つために計画されたものだった。

がしかし、田中はリヴィエラではなかった。
この辺りの事情も私には理解できなかった部分ではありますが。。

CIA職員の「伝書バト」ことケリー・マッカンとその恋人、サラ・ウォーカー。M15職員のキムとM・G。シンクレアと双生児のように育ち、無類の友でもあるシンクレアのマネージャー ダーラム侯(大金持ち)、その妻で中国のスパイ レディ・アン。そして日本の警察の警視 手島修三と妻 時子等。みんな実に魅力的。でも次々に殺されていきます。

小説とはいえ、こんなにも死者を出す必要があるのでしょうか、それは断じてない あるわけがないでしょう。
しかしながら、髙村氏がこう書かざるおえなかった訳があるのでしょう。
髙村氏の書くものは単なる娯楽にはなりえないようです。


そうそう新聞のもう一つの記事は紙面1ページ丸々裂いて「今後の政局について」寄稿したものでした。髙村氏は政治についても非常に詳しい方のようです。

このように、非常に骨ぽい文章を書かれる方ですが、さて髙村氏は男性でしょうか、女性でしょうか? 画像から推察ください。

私は小説を読み、写真を見てもわからなかったですのですが、ある方によりますと、「いたるところにホモを登場させるのは女性の大いなる勘違い」なんだそうです。失礼しました(笑)

 

 

2009-09-22