風の詩(うた)

ジェジュンとAB6IXを中心にK-POPの音楽レビューを書いています。読書レビューは過去記事です。

「黒い雨」井伏鱒二 レビュー

新潮文庫の100冊キャンペーンは1976年に始まったそうですから、私の本好きを決定づけたのはこのキャンペーンのお陰といっても過言ではないかもしれません。この100冊読破を目指して、まずは目についた本から買い求めていた(青春の)日々が懐かしいです^^。

この「黒い雨」もそんな若いときに買った1冊です。
そして現在2009年の100冊にもこの本が入っていることに少々驚きました。
でも一度はきちんと読むべき本だと思います。
この年になって読んでもそう遅くはなかったと思いました。
これも買っただけで当時読まなかった1冊でした^^;

これは小説というよりは広島の原爆の記録文ですね。
挿絵も映像もないので、冷静に読むことができました。
95パーセントは主人公の重松が書いている原爆記録なのですが、私は、主人公の妻や、最後の方に出てくる原爆にあった医者の妻の文に強く心が惹かれました。
当時の女性の姿勢、生き方に触れ、私も含めて現代女性に欠けしまったものをみた気がしました。 
反省します。けれどもとても真似はできないとも思います。
それはなぜか、どうしてそうなってしまったのか、これから探る価値があると強く思いました。

余談ですが、今月から始まったTBSドラマ「となりの芝生」(橋田壽賀子)を見ています。これは1976年にNHK銀河テレビ小説で放送されていた『となりの芝生』の現代版ですが、人間模様は当時と変わらないと思います。(当時は見ていなかったのですが)
泉ピン子演じる姑は、「黒い雨」の重松の妻とはだいぶ違いますが、
明治の女=重松の妻>泉ピン子演じる姑>数年後には姑になる自分たち
みたいな図式が浮かんできました。(注)>は大小ではありません(笑)

あの戦争が終わり、欧米から物以外にも様々なものが入ってきて、価値観が変わってきました。その大きなものに女性の意識改革があると思うんです。
それが、どうしてこうまでなってしまったのか、(こうとは、長くなるので書きませんが)
やはり探る価値がありそうです。

 

2009-07-10