風の詩(うた)

ジェジュンとAB6IXを中心にK-POPの音楽レビューを書いています。読書レビューは過去記事です。

「ある微笑」他 サガン レビュー

 

悲しみよこんにちは」の後、待たれたサガンの2作目。

その期待は裏切られることなく、絶賛を受け、サガンは弱冠二十歳にして確固たる文学的地位を得ました。


さて、先に少しあらすじを書いておきます。

「主人公はソルボンヌ大学法学部に通うドミニクという二十歳の少女である。ベルトランという級友、恋人がいる。しかしドミニクはすでに人生に倦怠を感じている かなりませた少女である。
ある日、ベルトランの叔父リュック夫婦の家に遊びに行き、四十男のリュックから「後腐れのない一時的な恋愛遊戯をしよう」と持ちかけられ、危険を感じながらも応じる。そして南仏、カンヌでリュックとともに2週間の夏休みを過ごすが、そこで、ドミニクは真にリュックを愛するようになってしまう。」

 

感想
さて、これは当然の結果ではないでしょうか。
ドミニクにとって、青臭いベルトランより、遊び慣れた大人のリュックはどんなにか魅力的だったことでしょう。
ただ、私は、若い時からリュックのような年上の男性に魅力を感じたことがないのです。
恋愛は、男女対等の場合においてのみ成り立つのではないかと思っていて、かなりおばさんの私だけど、その考えは二十歳の頃とさほど変わりはありません。


話をドミニクとリュックに戻します。

「夢のような夏休みが終わり、灰色の空の巴里に帰ると、リュックは妻の元へ戻り、さらに仕事で1ヶ月もアメリカに行く。
リュックが忘れられないドミニクは、暗い下宿で恋愛の痛みと孤独に耐えながら、苦しんでいる。

ある朝、ふと隣室からもれ聴こえる音楽に耳を傾ける。
その音楽は、愛と死と、微笑とを象徴するモーツァルトのアンダンテであった。
その時突然、ドミニクは、心の中に静かな安らぎと微笑がのぼってくるのを感じた。
長い苦しみの間に、少女は、一人の女になったことを知る。」


良い小説のあらすじほどつまらないものはないですよね。
サガンの文体は余計な装飾がなく純粋で簡素だそうだから、尚のこと。
サガンの作品をフランス語で読めたならまた違った味わいを感じることができるでしょうね。


それにしても二十歳のサガン、言うまでもなく早熟に過ぎますよね。
だが、それが初期のサガン作品の魅力なんですよね。

 

 

サガンの作品一覧】

新潮文庫
1番 「悲しみよこんにちは」 朝吹登水子
2番 「ある微笑」 朝吹登水子
3番 「一年ののち」 朝吹登水子
4 番「ブラームスはお好き」 朝吹登水子
5番 「すばらしい雲」 朝吹登水子
6番 「熱い恋」 朝吹登水子
7番 「優しい関係」 朝吹登水子
8番 「冷たい水の中の小さな太陽」朝吹登水子
9番 「スウェーデンの城」岩瀬孝訳 (戯曲)     「ヴェランティーヌの葵の衣装」安堂信也訳(戯曲)
10番「幸福を奇数に賭けて」安堂信也訳(戯曲)
    「傷ついた名馬」 安堂信也訳(戯曲)
11番「心の青あざ」 朝吹登水子
12番「時折ヴァイオリンが」 

      安堂信也訳 (戯曲)
13番「草の中のピアノ」安堂信也訳 (戯曲)
14番「失われた横顔」 朝吹登水子
15番「愛と同じくらい孤独」 

    朝吹由紀子訳(空想のインタビュー本)
16番「絹の瞳」朝吹登水子訳 
17番「乱れたベット」

          朝吹登水子訳(一年ののち続編)
18番「愛は遠い明日」 朝吹登水子
19番「赤いワインに涙が」朝吹登水子訳(短編)
20番「愛の中のひとり」 朝吹登水子
21番「ボルジア家の黄金の血」 鷲見洋一訳
22番「夏に抱かれて」 朝吹由紀子訳
23番「水彩画のような血」 朝吹由紀子訳
24番「愛は束縛」 河野万里子訳
25番「私自身のためのやさしい回想 」朝吹三吉
26番「愛という名の孤独」   朝吹由紀子訳(インタービュー)
27番「逃げ道 」 河野万里子訳

 

(新潮文庫以外の作品)
「鏡」
・「愛をさがして」
・「厚化粧の女」吉田暁子訳 集英社
・「香水」ギヨーム・アノトーとの共著 鷲見洋一訳(新潮社)
・「昼も夜も晴れて」(1978) 

      朝吹登水子訳(新潮社)
・「サラ・ベルナール -運命を誘惑するひとみ」 (1987)  吉田加南子訳(河出書房新社

・「愛をさがして」(1994)朝吹由紀子訳(新潮社)


その他にも作品があれば教えて頂きたいです。

宜しくお願い致します🙏