風の詩(うた)

ジェジュンとAB6IXを中心にK-POPの音楽レビューを書いています。読書レビューは過去記事です。

「時が滲む朝」楊 逸(ヤン・イー)レビュー

「文藝春秋」(2008年)9月特別号を買いました。
上半期の芥川賞が中国人の楊 逸(ヤン・イー)さんに決まり、講評も合わせて読みたくて久々に買いました。

今回の芥川賞の選考委員は、石原慎太郎、髙木のぶ子、池澤夏樹村上龍川上弘美黒井千次宮本輝小川洋子山田詠美の9名です。

 

ここで驚くのは、選考委員が若い女性作家が多いということ。若いと言っても40代以上であると思うし、作家としては中堅以上の力のある方々ばかりだと思います。

 

男性の方は、失礼ながら黒井千次さんを知りませんでしたし、宮本輝さんはお名前だけ存じていますが作品は読んでいません。でもなんとなく信じて良い方のような気がしていました。

池澤夏樹さんは嫌いではないです。

石原慎太郎さんはどうなでしょう?東京都知事に新人の小説を読む時間があるのでしょうか?

もちろん村上龍さんは唯一、よく存知あげている方で、講評も楽しみにしていました。

 

さて「時が滲む朝」
はっきり言って、がっかりしました。

小説としての面白みもないし、中国の現実もほとんどがすでに知っていたことばかりで、珍しさがありませんでした。

この辺りは、村上龍さんが、講評で痛烈に書かれていました。

 

この作品を推したのは、髙木、池澤、黒井の三氏で、酷評をしていたのが石原、村上、宮本、小川の四氏。

川上の講評は誰にでも優しい感じで△。山田も×に近い△かなという感じがしました。

 

それでもこの作品が賞を取ったということは、票のからくり(意図的ではない)と、他の作品に力がなかったということ、そして芥川賞というのは「新人賞」に近い賞だということでしょうか。

 

音楽コンクールでもこういう票のからくりを感じることがあります。兎にも角にも、芥川賞を受賞した作品=最高の文学作品ではないことだけは確かですね。今頃、理解した次第です^^;


でも、楊 逸(ヤン・イー)さんには、選考委員始め、日本文学振興会がこれから大いに期待している それだけは確かに言えるでしょう。

 

実は私、この作品よりも楊 逸(ヤン・イー)さんのインタビューがとても面白く、彼女に興味を持ちました。

北京五輪の年に中国出身の作家が日本で文学賞を受賞したこと事態、出来すぎているようにも感じますが、日本の文学界の鷹揚さも感じました。

そこは拍手を送りたいです。


私は作品の感想らしい感想が書けなかったので、素晴らしい感想とあらすじが書かれているサイトをご紹介します。
http://www5b.biglobe.ne.jp/~michimar/book/203.html

 

 

2008-09-15