「ピアニストという蛮族がいる」中村紘子 レビュー
ピアニストの中村紘子さんが書くものは、どうしてこんなに面白いのでしょうか。ご主人が作家だからというのも関係があるのでしょうか。
まず第一に中村さんにはユーモアがあります。
それに取り上げる題材(人)がどれも非常に興味深いです。
古今東西の偉大な音楽家のアキレス腱が中村さんの歯に衣着せぬ暴露により明かされるのですが、それが少しも嫌みに感じないのは、ひとえに中村さんのピアニストとしての力量とも関係があるのでしょうが、天は二物を与えたといってもいいくらい、中村さんの文章は軽妙でかつ十分深みもあります。
ただしこの本は、ピアニストに関心がない方には全く興味のないものかもしれません。
ホロビッツ、ルービンシュタイン、ラフマニノフの名前を聞いて興味がわいた方にお勧めします。
2010.3.10