「推理小説」湊 建日子 レビュー
湊 建日子(1968年生)=はた たけひこ と読むのですが、この方は女性なのか男性なのか、本を読んだ後もわかりませんでした。
私は女性だと思いましたが、男性ですね。失礼いたしました。
一言でいうと、実に面白い本でした。
数日間、読者の時間が楽しみで仕方ありませんでした。これは習慣を無視して一気に読んでしまおうと思わなくもなかったのですが、訳あって辛い時期でありまして、私の楽しみは1日15分でよいと思いました。
さて、この本は湊 建日子さんの小説家としてのデビュー作ですが、彼は、小説家の前に劇作家、演出家、シナリオライターとして有名ですから、TVドラマの「天体観測」「最後の弁護人」「共犯者」「ラストプレゼント」「87パーセント」「ドラゴン桜」とくれば、ご存知の方も多いでしょうね。
2008-01-03
「スローなブギにしてくれ」片岡義男 レビュー
いつからか本を読むことに少しだけ罪悪感のようなものを感じるようになっています。
それは現実(家事やピアノ)からの逃避だと思っているからでしょうか。
そんなこと気にする前に、「感じるだけじゃなく、何か行動を起こせよ」と、言われているような気がするからかもしれません。
新聞の読書コーナーでですが、久しぶりに片岡義男さんの文章を読みました。片岡義男さんの本は、若い頃、題名やカバーに惹かれて結構読みました。椰子の木が並ぶ海岸線、ハワイやロスの風景、ロック、ウィスキー、英字新聞、金髪の美女、白いTシャツに皮ジャン、オートバイ、サーフボード、、、断片がよぎるだけで、ほとんど中身を覚えていませんが、ロックが似合う小説だったような気がするだけです。
久しぶりに片岡さんの文章を読み、小説の中身をすっぽり読み落としていたのを残念に思いました。
“記憶が自分の全て” だと片岡さんは書いてらっしゃいました。それはたぶん真実なのでしょう。
自分は自分の記憶以上のものではなく 自分の記憶以下のものでもないのですね。
他人が考える私とは、似ていても違うのでしょうね。
「スローなブギにしてくれ」は、片岡さんの小説の中で唯一もっとも記憶しているものです。
映画も2、3回観ました。南佳孝さんの同名の曲も映画にマッチしていてとても好きでした。
これは80年前後に書かれたものなのかな。実にまったりとした時代だったのかと思います。
それ以前は、反戦、反社会、反体制、、etc。若者もすごく苦しみ もがいていたような気がするからか、少しくらいルーズでもいいんじゃいかなと思ったり、、、つまりは、本を読むことに罪悪感などこれぽっいもいらないということですよね!!
2008-01-18
「ゼロ時間へ」アガサ・クリスティー レビュー
ミステリーにははまると大変と思っている私ですが、アガサ・クリスティー、エラリー・クイーン、サラ・パレツキーなどは別枠で考えています。
昨年は忙しくて本屋さんに行く時間、余裕がなかったので、夫のお下がり本を読んでいたのですが、その大半がミステリーでした。
一旦読み始めるとやめられないのがミステリーですよね。
昨年1年でミステリー文庫、高さにして1メートル位は読んだんじゃないかと思います(@@)
その中で、はまってしまって さぁたいへん!と思ったのが松岡圭祐の千里眼シリーズで、他に有栖川アリス、法月倫太郎なども結構読みました。
昨年、お下がり本以外で夢中で読んだのは、「風と共に去りぬ」ミッチェルと「赤毛のアン」モンゴメリです。この2つ、全巻揃っているのを古本屋で偶然見つけたことを幸運と呼ばずになんといいましょう。必然だったと言っても過言ではないかもしれません。この2つは感想を書き出したら止まらないので、別の機会に書こうと思っています。
さて、タイトルの「ゼロの時間へ」ですが、読み始めてすぐに 以前読んだことがあると気づきました。でもそれがいつ頃だったのか全く思い出せないし、さらに結末も忘れていたので、ミステリーとしても充分楽しめました。
アガサ・クリスティーは、ミステリーの部分はもちろんですが、デティールがたまらなくいいですよね。今回は名探偵ポアロが出てこないのだけが残念でしたが、ここまで奥が深いと、ミステリーにははまりたくないなどと断言してはいけないと思いました。
2008-01-18
「4TEEN」石田衣良 レビュー
4TEEN=14歳、直木賞受賞作品
いやぁ男の子ってホント面白いですね!
末っ子が主人公たちと同じ年齢で、同じ位バカなことをするので親としては大変なのですが、本当の所は彼らの気持ちもわかるんです。
現実はこの小説のようにはいかないけれど、気持ちはわかるよっていうことで、息子に「今夜読みな」と無理やり押し付けたけれど、読んでくれたでしょうか。
男の子がいるお母さんにお奨めの1冊です。
2008-01-20
「うつくしい子ども」石田衣良 レビュー
「4TEEN」に続き、中学生を扱っていたので読みました。現実には「酒鬼薔薇事件」があり、ちょうどその年代にさしかかっていた息子が3人もいるのに、ローティーン(特に男の子)の心の闇をここまで深く考えたことはありませんでした。
今、三男坊を見ていると、ここまでとはいいませんが、彼も彼なりに苦しみもがいているということが少し理解できたような気がしました。
13歳の子どもが8歳の女の子を殺すという重苦しい話ですが、どんなにやりきれない中にいても、歩み出す道があること、希望を見出せることを指し示してくれます。
この小説に出てくる親たちは出来すぎで、普通はとてもこうはいかないと思いますが、心に留めておくことが重要だと思いました。
2008-01-21