風の詩(うた)

ジェジュンとAB6IXを中心にK-POPの音楽レビューを書いています。読書レビューは過去記事です。

「太郎が恋をする頃までには・・・」栗原美和子 レビュー

フジテレビの美人プロデューサー栗原美和子さんが40歳を過ぎて大恋愛をして結婚し、そして離婚までの顛末記ですが、どうしても書かずにはいられなかった理由があり、心打たれる一冊でした。

その理由とは、ご主人だったハジメさん(本名:太郎さん(猿まわしの芸人))の出自、つまり部落出身であるという一点に尽きます。

北海道は新天地なので、「部落」はなく、おそらく「部落」の意味を知っている人はほとんどいないでしょう。私もこの年になるまで部落を意識したことは一度もないのです。北海道で差別といえばアイヌ民族を思いますが、これまた住んでいる地域にもよるでしょうが、戦後生まれにはほとんど経験のないことのように思います。アイヌ民族は日本人との同和を受け入れてきた(受け入れざるおえなかった)からなのですが、現在ではアイヌ民族の言葉や伝統を保護し、伝承していく動きが高まっています。同和ではなく共存が正しい道ですものね。

栗原家では、頭ではわかっていても、血筋(親戚への配慮等)を考えるとハジメさんこと太郎さんを受け入れることができなかった 栗原さんは家族のこの苦しみを理解できたのでハジメさんと別れられたのです。

そしてその代償として、この本が書かれました。
「太郎の子どもが恋する頃までには差別がなくなっているといい」と切に切に願いながら。



2011-08-04