風の詩(うた)

ジェジュンとAB6IXを中心にK-POPの音楽レビューを書いています。読書レビューは過去記事です。

2020-04-18から1日間の記事一覧

「レキシントンの幽霊」村上春樹 レビュー

おそらく以前にも読んだことのある短編集ですが、昼寝のお伴につらつら読み始めたらいっきに引き込まれてしまいました。でも短編なのでてっぺんが過ぎたらすぐに終息してしまうので、惜しいです。 でもそれが短編のいいところであり、醍醐味なんですよね。 …

「サイレント・マイノリティ」塩野七生レビュー

私にとって、塩野七生さんの文章は難しい。難解と言っていいかもしれない。塩野さんの言わんとしていることのニュアンスは多少なりとも伝わるのだが、おそらく半分も読み込めていないと思う。 けれどもイタリアの潮風を運んでくれる塩野さんはいいな、かっこ…

「早春スケッチブック」山田太一 レビュー

この題名を聞いてピンときた人、たぶんあなたは50代以上の方でしょう。そうこの作品は1983年にTVドラマ化された脚本です。 私は舞台や演劇関係には相当疎いので、脚本はチェーホフやシェークスピアどころか、小学校の学芸会用の「夕鶴」以来読んだことが…

「アンネの日記 完全版」アンネ・フランク レビュー

小川洋子さんの「アンネ・フランクの記憶」読んだ時に、深町眞理子訳「アンネの日記 完全版」を読まなくちゃと思い、その思いが叶いました。 やはり子どもの頃読んだ「アンネの日記」とは随分違いました。まずアンネの年が5歳位上に感じました。 アンネは感…

「中国ノート」中山千夏 レビュー

30年以上も前、中山千夏という参議員がいたことを覚えている方はおられるでしょうか? その中山千夏はそのもっと昔、名子役だったということは?私はそのどちらも覚えています。もっとも議員の方はたしか一期で辞めたと思いますが、この中国ノートは中山千…

「光の海」津村節子 レビュー

1999年に文庫化された津村節子さんの10編からなる短編集です。 どれも読み始めからすぐに物語に入っていけて、最高の盛り上がりで裏切られたように突然終わるのが短編の醍醐味だとは私はそう考えているのですが、津村さんの短編はどれもあまりにも急降下す…

「白い焔」津村節子 レビュー

昭和38年から44年にかけて発表された短編8編が収められています。 当然、そこらじゅうに昭和の匂いが漂っていて、子ども時代にタイムスリップしたような気持ちになりました。またどの話も男女のもつれを書いているのですが、サスペンスドラマにもなりそ…

「太郎が恋をする頃までには・・・」栗原美和子 レビュー

フジテレビの美人プロデューサー栗原美和子さんが40歳を過ぎて大恋愛をして結婚し、そして離婚までの顛末記ですが、どうしても書かずにはいられなかった理由があり、心打たれる一冊でした。 その理由とは、ご主人だったハジメさん(本名:太郎さん(猿まわ…

「カワサキ・キッド」東山紀之 レビュー

東山紀之、そうこれは少年隊(ジャニーズ事務所)のヒガシの本なのだ。 びっくりでしょう?! 私がタレント本を手にするなんて。しかもヒガシのファンでもなく、どちらかといえばヒガシのような二枚目は苦手だったのだから。 この本は6月に大阪に行った際、…

「眠れる美女」川端康成 レビュー

表題の「眠れる美女」の他「片腕」、「散りぬるを」の三篇が収められていました。もっとも興味深かったのは、解説を三島由紀夫が書いていることです。これってかなりすごいことですよね。 「眠れる美女」三島由紀夫によれば、この作品を文句なしの傑作と呼ん…

「魔王」伊坂幸太郎 レビュー

久しぶりに伊坂作品を読みましたが、これは私が思う伊坂幸太郎らしい作品だと思いました。 あれよあれよといううちにいっきに読み終えてしまっていて、では何だったのかと考えると、これはただの問題提起で作品としてはいまいちじゃないかと思ってしまったの…

「砂漠」伊坂幸太郎 レビュー

「魔王」に続いてもう1冊伊坂作品「砂漠」を読みました。 舞台は伊坂さんが学生時代を過ごし現在も住んでおられる仙台で、東北大学と思われる法学部の学生たちが主人公、伊坂さんお得意の設定です。 その学生の名前が東堂さん(超美人)、猛者の西嶋、南ち…

「銃口」三浦綾子 レビュー

北海道旭川市の神楽という所、三浦綾子記念文学館がしらかばの林に囲まれ建っている。「氷点」の陽子やその兄や友人たちのように美しい若者がどこからともなく現れてもおかしくないような静かで落ち着いた所にある。 「氷点」のドラマは何度もリメイクされて…

「李謳(りおう)」髙村薫 レビュー

李謳(りおう)は、月夜の晩にしなやかな身体をゆらし踊る美貌のスパイ、殺し屋なのだ。李謳と比べれば平凡な一彰と出会ったとき、二人とも22歳でそれは運命の出会いだった。 いやぁ久々に惚れました。そう李謳に。 髙村薫さんの描く男は、たいがい危険で…

「十五少年漂流記」ヴェルヌ レビュー

子どもの頃家にあった少年少女世界文学全集、全巻揃っていたわけではないが、「小公子」「小公女」と「十五少年漂流記」が最も印象に残っている。中でも十五少年漂流記は高学年になっても興味が尽きず、大好きな本でした。あの頃から40年以上もたって読ん…

「暁の旅人」吉村 昭 レビュー

幕末の長崎、オランダの医官ポンペから実証的な西洋医学を、日本人として初めて学んだ松本良順。幕府の西洋医学所頭取を務め、新撰組の屯所の改築を勧め、会津藩で戦傷者の治療を指南、さらに榎本武揚に蝦夷行きを誘われる。 幕末、維新の波にもまれながらも…

「敵討」吉村昭 レビュー

「敵討」は文字通り「かたきうち」のこと。 全く知りませんでした。敵討のこと。江戸時代まで惨殺された親の仇を討つことは美談となったことを。 親の敵を討つために、たとえ何十年かかろうと、官(幕府)の職を有給で休みを取ることが許されるなんて信じら…

「海馬(トド)」吉村昭 レビュー

短編の恋愛小説が7編、どの作品にも動物を仲立ちさせているところが、単なる恋愛小説とは違う。しかも動物の生態や習性が綿密に取材されているので、動物に対する情がこもっている作品になっています。 でも登場する男女が皆似た印象で、残念ながら特に心に…

「悲歌 大伴家持」田中阿里子 レビュー

あの「万葉集」の編者、大伴家持の物語です。 大伴家持に関しては、少しの作品(短歌)以外は何も知らなかったので、この本に出会えたことがまずとても嬉しく、その思いは読み進めるうちに増していきました。 でも、文章が難しいわけではないのに、背景が複…

「母」三浦綾子 レビュー

この母は、あの「蟹工船」の小林多喜二のお母さんセキさんの話です。 もうこれだけで胸が熱くなってくるのは私だけでしょうか。 セキさんは秋田の片田舎の極貧の農家の娘で、13歳で小林家に嫁いできました。極貧だったから学校へは通えず、文字も読めません…

「告白」湊かなえ レビュー

湊かなえ(1773年生)さんのデビュー作。 2008年度の週刊文春ミステリーベスト10で第1位このミステリーがすごい!で第4位2009年に本屋大賞を受賞2010年6月 監督中島哲也、主演松たか子により映画が公開し、2011年2月第34回日本アカデミー賞を授賞 話題になった…

「ラッシュライフ」伊坂幸太郎 レビュー

「オーデュポンの祈り」に続く初期の作品です。 4つのラッシュ、すなわちlash、lush、rash、rush 並走する4つの物語と10以上の交差する人生がからみあっているのに、読んでいるものは迷うことなく楽しめるようになっていました。 2011-11-27

「さよならドビュッシー」「おやすみラフマニノフ」中山七里 レビュー

「さよならドビュッシー」の帯には、あの俳優の妻夫木聡さんの「最後にどんでん返しがあってね、面白かったです。思わず引き込まれて買っちゃいまいたからね、クラシックのCDを」とあります。これは、「このミステリーが面白い」の大賞も取っている作品な…

「スタンレーの犬」東直己 レビュー

東直己(あずま なおみ)さんは、1956年札幌生まれ、北大哲学科中退だそうです。北海道在住のハードボイルド作家を云えば、まっさきに名前が出てくる東さんですが、私はハードボイルドにさほど興味がないので、今まで名前しか知らずにきたのが残念に思う…

「真珠夫人」菊池寛 レビュー

この作品は何度もドラマ化されているので、ご存知の方も多いでしょう。原作は1920年(大正9年)の6月9日から12月22日まで大阪毎日新聞、東京日々新聞に連載された新聞小説です。 菊池寛といえば、昭和10年に芥川賞、直木賞を創設し後進の育成にも尽力し、…

「愛に何を求めるか」パール・バック レビュー

パール・バックはアメリカ人ですが、宣教師の両親とともに中国で暮らしました。後に離婚しますが結婚をしたのも中国でした。ノーベル賞を受賞した作品「大地」も中国大陸を指しています。 さて、「愛に何を求めるか」ヒロインは42歳の美貌の未亡人、しかも…

「蜻蛉日記をご一緒に」田辺聖子 レビュー

「蜻蛉日記」は、藤原兼家と結婚した19歳の時から始まります。個人の日記なので赤裸々に語られているところ、またたとえ千年経とうが女の本質は変わらない、そんなところに親しみがわきます。が、やはり蜻蛉の嫉妬深さにはかなりのもので、驚きます。 でも…

  「真夜中のパン屋さん」大沼紀子 レビュー

2011年6月発行の作品で、結構売れましたが読めばそれがわかります。これぞ現代小説という感じがします。 読みやすいのはもちろん、道から外れているようにもみえますが、どれが本道なのかわからない今、また「みんな違って、みんないい」などといわれると本…

「探偵はバーにいる」東 直己 レビュー

バーがBARにはなっているが、昨年秋(2011年9月)同名の作品が映画化されました。主演は大泉洋さんとと松田龍平さん、ヒロインは小雪さん。他に西田敏行さ?等 名実ともに一流の俳優さんが多数出演しています。監督はテレビドラマ「相棒」の橋本一さん、…

「プラチナデータ」東野圭吾 レビュー

この本は、次男(大学生)が帰省した折に使っている部屋の本箱のハリーポッターシリーズの隣りに鎮座していたのを見つけました。2010年の初版本なので気づかずに1年以上経過してたかもしれません。 東野圭吾さんを読むのは「容疑者xの献身」以来(2冊目)だ…