風の詩(うた)

ジェジュンとAB6IXを中心にK-POPの音楽レビューを書いています。読書レビューは過去記事です。

「光の海」津村節子 レビュー

1999年に文庫化された津村節子さんの10編からなる短編集です。

どれも読み始めからすぐに物語に入っていけて、最高の盛り上がりで裏切られたように突然終わるのが短編の醍醐味だとは私はそう考えているのですが、津村さんの短編はどれもあまりにも急降下するので、続きを教えて欲しいと思うほど読み終えたくない気持ちになります。

津村さんの文章には無駄な言葉が一つもなく、また言葉足らずなところも見当たらず、したがってほどよい量の言葉がほどよく並んでいるので読んでいても全く疲れません。
題材も身近に感じる家庭的なものが多いように思います。もちろんそうではないものもありますが。よく出てくるのは家政婦さんの話と不倫の話ですが、これは出来事そのものより、精神的に身近に感じるものといえましょうか。

あまりにも読みやすいため、読書したという気にはならないような1冊です。最後の話「麦わら帽子」がとても好きでした。



2011-05-22