「愛に何を求めるか」パール・バック レビュー

パール・バックはアメリカ人ですが、宣教師の両親とともに中国で暮らしました。後に離婚しますが結婚をしたのも中国でした。ノーベル賞を受賞した作品「大地」も中国大陸を指しています。

さて、「愛に何を求めるか」
ヒロインは４２歳の美貌の未亡人、しかも夫の残した財産がありかなりのお金持ち。その上学生時代から敬愛していた老哲学者と２５歳の若き科学者にも愛される。

本書は愛のエゴイズム、愛と結婚、愛と性、愛と死、愛の成就など、多面的に愛に取り組み、また直接的に愛の真髄を探求する小説なのですが、決して退屈にはならず、風景は優雅、精神はあくまで高尚です。そしてヒロイン　エディスの選択を興味を持って待たされるのです。

最後にエディスは、自らの愛を気高い女神の愛となさねばならないと悟るのですが、それまでの葛藤、すなわち成熟した女の心と肉体の苦悩、その描写が実に素晴らしくて感動しました。

2012-01-23