風の詩(うた)

ジェジュンとAB6IXを中心にK-POPの音楽レビューを書いています。読書レビューは過去記事です。

「もし君と結ばれなければ」岡 しのぶ レビュー

昨夏、短歌のコミュに入ってから、本屋(たいていは古本屋)に行く度、歌集コーナーも覘くようになりました。

歌集は価値が高いのか、古本屋でも結構な値がついています。

しかも悲しくなるほど入荷数が少なく、いつ行っても変わり映えのしないコーナーです。

でもそこには生きるのに一生懸命な人の影があり、なんとなくふぁっと感が漂っていて、陽だまりのようにも感じられるのです。
おそらく立ち寄る人がとても少なくて、その人たちが上のような空気を運んでくる常連さんなのかもしれませんね。

 

さて、岡 しのぶさん
おそらくあまり聞いたことがない方ではないでしょうか。
1976年生まれ。旭川工業専門学校在学中の16歳で短歌を始め、17歳で「短歌現代」の新人賞佳作に入り、上の歌集は1996年十九歳の時に出版された初歌集です。

まず私は、旭川高専出の歌人がいたことに驚き、岡さんの美少女ぶりに圧倒されてしまったのですが、旭川、厳冬の北の街に こんなみずみずしい感性を持った少女がいたことをとても嬉しく思います。

歌は、恋愛を詠んだものばかりですが、その早熟ぶりにも驚かされました。
岡さんは俵万智さんより一回り年下なので、当然「サラダ記念日」等からもなんらかの影響、刺激などを受けただろうと思うのですが、作品には俵万智さんの影などは、ほとんど見受けられません。

彼女の作品は旭川という街だからこそ生まれたと感じるものが多数あり、それに影響を与えたとすれば、「氷点」や「塩狩峠」の旭川の作家、三浦綾子さんかなと思いました。

そして不思議に思うのは、こんなに若いのに、私の少女時代と変わらない頃の昭和の雰囲気を感じさせる人だということです。

厳冬の地旭川高専、昭和の雰囲気が、岡さんの歌に流れるキーワードです。

 

・「もし君と結ばれなければ」
・「りんごの涙」 俵 万智 
・「日本一短い母への手紙」福井県丸岡町

・「息子よ 娘よ」 吉村秀夫 
・「銀 波」 秋山 扶佐子第二歌集 
・「玉うさぎ」 瀬川 真由美歌集 
・「宮沢賢治詩集」中村 稔編 

 

2009-02-26