「ツ、イ、ラ、ク」姫野カオルコ レビュー
姫野カオルコさんのお名前は以前知ってはいましたが男性か女性かも分からず、もちろん年齢も知りませんでした。作品を読んだのもこれが初めてでした。
最初からぐんぐん引き込まれ 数ページで作者は同世代だと確信しました。
つまり自分の子ども時代にリンクする部分があり、久しぶりに血が騒いだ作品でした。
小説だから背景や登場人物のディテールをはっきりさせて当然ですが、特に女子の描写は ここまで書くかと思うほど書かれていて、これは林真理子さん以上であることは間違いなく 私が辱めを受けているわけでもないのに、なぜか少しだけ切なくなりました。
でもこの尾ひれ部分全てにあの時代、我々世代が感じる昭和の懐かしさと、この小説の面白さを感じました。
解説の斉藤美奈子さんの言葉を借りれば、直球の「ヒメノ式」に何十年も忘れていた記憶が地面の底から「発掘」されるような不思議な感覚に陥ったということになります。
カオルコさんのあとがきによれば 若い人が読むと消化不良をおこしそうな大人のための「恋愛なるものの小説」ということで納得しました。
ところで最後まで読んで、私はカオルコさんを強力なる女性スタッフ(その方は恋人でもある)がついている男性かなと思ったのですが、それは大間違いでした。
カオルコさんって非常に男ぽい人だと思います!
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2007-04-30
(コメント)
平成になってもうすぐ20年ですね。
なんだかあっけないような感じで、時間は流れてますよね。
町の風景もすっかり、様変わりしていて。
時々、記憶にあるものを目にした時、ほっとする、そんな年代になってるんだろうなって。
20年も前のことだけど、台湾から子供の居ない家庭に養女としてきた女性が言うには、日本の男の人は、肝心なことは笑ってごまかして言葉にしないって。
話の前後は如何だったかよく覚えていないけど。的を得てる気がしたよ。
人間のすることに決まった一つの答えなんてないと思うけど。
でも選択しなきゃならない場面は、何度かあるし、否が応でも答えだしてしまわなきゃならないこともある。
逃げは後悔するけど、答えをだした結末は案外思い出になるんだよね。
それは、いろんな出来事に共通して言えるように思うよ。
少し、由(yuh)さんの文章とかけ離れたコメントだけど。
女性というテーマでの記憶です。
by hikaru 2007/05/01 (Tue)
(返信)
次男が平成2年の1月生まれで17歳だから、平成生まれが二十歳になるのも後2年ですね。
時の流れの速さを感じますね~。
あー昭和は遠くになりにけり。ついこの間のような気がするんだけどね~。
そうだねぇ、日本人は自分の思いや考えを心に秘めるのが美徳とされていたような歴史があるからねぇ。
でも今ははっきり物言う人も増えてきたよね。
男性が肝心なことを笑ってごまかすようにするのは、単に優柔不断の場合もあると思うけれど、優しいからそうするのかなと思うこともあります。
私も笑ってごまかすときは、自分が上の立場で多少のことなら許せるときかなって思うの。
でも聞いたことにちゃんと答えてくれない男性は、同等じゃないような気がして嫌なんだよねぇ。
つまり私は笑ってごまかされると上の台湾の女性のように悲しくなるタイプです^_^
by 由 (yuh)2007/05/01 (Tue)