「虞美人草」夏目漱石 レビュー
やっと読み終えました!
出だしが読みづらくて、また挫折かなと思ったのですが、いつしか夜のお楽しみ~になっていました。
では早速、今回は真面目な感想文です(笑)
私は謎の女(と書かれている)甲野欽吾の義母の心算が、それほど非常識だとは思わないのですが、とても醜く書かれていることに漱石の心内をみる感じがしました。
藤尾、糸子、小夜子と年頃の女性が3人出てきますが 今の時代、小夜子のような女性はまずいないでしょう。
糸子のような女性は多いと思います。
大半がそうではないかと息子が3人いる親の願いも込めてそう思います。
藤尾のような女性も増えてきているように思います。 今の時代なら、クリエイティブな仕事をバリバリやっていくタイプじゃないでしょうか。
最後の盛り上がり、藤尾を死なせたところが、新聞小説らしいと思いました。
それにしても宗近君。活躍しすぎです。一番いい人になってしまいましたね。
藤尾も母も、宗近君の良さを見抜けなかったわけですが 、漱石の小説ではいつも女は深いわけを知る由もない、または知らなくてよい みたいなところを感じ、残念に思うことがあります。
そう考えると、この小説では糸子がいい役割をもらっています。
ただ、女は平凡なのが一番と思われているのかなぁと ここも残念です。
「真面目になれ」と、小夜子と結婚することにした小野さんは、これで真面目になったといえるのでしょうか。本当の真面目は、藤尾と一緒になることでは?
ここに一番の矛盾を感じました。
その他
当て字が見事で感動すら覚えました。
自然の描写が素晴らしく、非常に詩的で素敵でした。
東大の金時計にこだわるのは、あの時代仕方のないことだったのでしょうか。
学歴偏重、いつの時代であっても読んでいてあまりいい気分はしませんね。
色々書いたのは、非常に面白く読んだということです。
漱石はまだ読んでいないものが結構あるので、これからしばらく楽しみです。
2008-12-05