「食堂かたつむり」小川糸 レビュー
この小説はちょうど1年前に発表になり、春にはメディアで評判になっていたことは知らず、手に取ったのは全くの偶然でした。
久し振りに行った古本屋さんでめぼしい本を10冊ほど漁った後、ふと目に留まり(値段がついていなかったので)「安かったら買おう」くらいの気持ちでとポイッとカゴに放り込んだのでした。
そしてその晩の内に読んでしまったので、昨日の朝まで読んだことすら忘れていたのです。
昨日 朝刊の片隅に「食堂かたつむり」映画化決定!この広告を見て、ありゃりゃこれ読んだの忘れてたわ。
映画化されるほどの本だったかなぁと思い、さっき少し調べてみました。
小川糸さんは作詞家・春嵐として、2004年から音楽制作チームFairlifeに参加している方だそうで、この「食堂かたつむり」は、小説としては作品第一号で、これからも書いてゆかれるとのこと。
むむむ、はたして次作もこんなに評判になり売れるかなぁ、それよりこの方は小説家向きじゃないなぁとなんとなく感じてしまいました。
読み物としては面白かったし、好きな場面、感心するところもありました。
ふだん小説など読まない料理好きな女性ならはまるかもと思いました。
でも、私は、吉本ばななさんの「キッチン」の二番煎じを飲まされている気がして、主人公の可哀相な生い立ちや声を失うほどの失恋も、料理の細かい描写もおばあちゃんの糠床を大事にしているところも、回りの人をどんなにいい人に描いたとしても、お料理で幸せにしてあげた人がいたとしても、お母さんの遺言とはいえ、ペットにしていた豚を解体しで余すとこなく食べてしまう行為も、なぜか空々しく感じるようなひっかかりを感じました。辛口ですみません。
吉本ばなな「キッチン」を読んでいない女性に限りお勧め度は☆☆☆☆
2009-01-19