風の詩(うた)

ジェジュンとAB6IXを中心にK-POPの音楽レビューを書いています。読書レビューは過去記事です。

「家計簿の中の昭和」澤地久枝 レビュー

同年代のweb友が紹介していたので図書館で借りて読みました。
その友は毎日家計簿を付けているそうですが、家計簿は私も結婚以来ずっと付けています。主婦の何割位が家計簿を付けているのかと思いネットで調べてみたら、約3割だそうです。意外と少ないですね。

上のweb友の日記にコメントを寄せた方では、付けている方が12名中5名で4割、近所のママ友は6名中2名で3割、ピアノ仲間は6名中3名で5割でした。やはり実際のところは3~4割ではないかと思いました。

付けない理由は、面倒だし時間がない。付けても付けなくても入るお金も出るお金も一緒だと思うから。どんぶり勘定でもなんとかやってきているからという方が多かったです。でもこれからでも付けたいと思っている方も結構いるようです。

一方、付けている方は、結婚して(または子どもができ)仕事をやめることになったら夫の給料だけでやっていくのが不安だったからというのが家計簿を付けるきっかけになった方が多いようです。

あと、こういう作業は向き不向きがあって各人の性格にもよる感じします。家計簿を付けられる派と付けられない派、あなたはどちらでしょうか。

(2020年現在私は家計簿を付けるのをやめています。

それは時間が取れられる為、ストレスになっていると感じてきたからです。

仕事柄収入が変動するので収入のみweb家計簿に付けています)


さて昭和5年生まれの澤地さんの家計簿はすごいです。戦前、戦中、戦争直後、高度経済成長時代、安定期、そのまま家庭の昭和史を振り返ることができます。

私が家計簿を付け始めたのは昭和60年です。

3年後には平成になりましたから、私の家計簿からは平成の一般家庭の台所事情が読み取れるかも知れません。

実は今年密かにそんなことを考えていたので、興味深くこの本を読み進めました。


ところが、著名な作家 澤地久枝さんの家計簿です。戦後10年目くらいからは、やはり一般家庭のそれとはかなり違ってきます。
一番本が売れた年の年収が6000万円、次の取材費用が7000万円、、、どんぶり勘定ではとてもたちゆかなかったでしょう。

澤地さんは最後まで家計簿と呼んでいますが、澤地さんの家計簿の後半は帳簿と呼んでいいのではないでしょうか。

ですから興味深いのは昭和30年代位までの記述かもしれません。

その当時、たとえ住んでいる家が狭くても、下宿人、または間借り人を置いて、とりあえずの収入を得ていたご家庭が多いと聞きました。

家の東京の親戚も大半がそうしていました。

またつつましく暮らし、少しでも貯金ができると先を見越して土地を買っておく、これも一般家庭でも実践していたことではないでしょうか。
しかしながら、いつしか都会の土地はそうやすやすと手に入らなくなってきました。今ではほんの一握りの富裕層だけのものですよね、

エピソードでは、親孝行をしたくてお母さまと旅行にでかけて落ち込んでしまう澤地さんが自分と重なります。

また向田邦子さんとの40日間にも及ぶ大旅行の話、着物にまつわるお話は売れっ子作家ならではで、ちょっといえかなり羨ましく思いました。

そしてなんと言っても三度の心臓手術を受けながら五味川先生の助手として目いっぱい働く姿が、後に大作家となる基礎を培っていたのだなぁと、現在のやんわりとしたお着物姿からは想像もできない澤地さんの壮絶な生き様が垣間見られ、家計簿の中の昭和はまぎれもなく澤地さんんの生き様そのものであると思いました。

いつか私も「家計簿の中の平成」を書けたらいいなと思いました。

 

2009-07-16