「とかげ」吉本ばなな レビュー
吉本ばななさんの作品はデビュー作「キッチン」(1987年)しか読んでいないかもしれないのですが、キッチンはものすごく好みだったので今でも印象に残っている所が多々あります。
キッチンからなんと四半世紀以上も経っているのてすね。
どういうわけだか、ばなな作品2作目として「とかげ」が手元にきたのでゆっくりと読みはじめました。
「とかげ」は6篇からなる短編集ですが、どの作品も流れているものが同じなので違和感なく一つの作品のように読めました。
そんな中にあって表題の「とかげ」とラストの「大川端奇譚」は特に良かったです。
ばななさんが自分と似ているなんて言うのはおこがまし過ぎるのですが、共感するところがとても多いのに驚いてしまいました。
あとがきには、この小説は全部「時間」と「癒し」、「宿命」と「運命」について書かれたものだとあります。一つ一つ検証しながら読めばそれがはっきりとわかるのでしょうが、あとがきを読む前から、私は流れているものが同じだと感じていたし、宿命なのか運命なのかはわからないけれど、どのような状況であっても心配せずに逆に心地よくすら感じながら読めたので、そういうものをひっくるめて「癒し」とよんでいいのかなと思いました。
(2012-09-17 )