「ブルーもしくはブルー」山本文緒 レビュー
山本文緒さんは1962年生まれ。「恋愛中毒」で第24回吉川英治文学賞、「プラナリア」で第124回直木賞を受賞されています。
売れている女流作家さんなのに初めて読みました。久々に面白いと思いほっとしました。
というのもこの3ケ月ほど、ある作品に翻弄されていて(適当な言葉がみつからないのですが、実は3月かかってもまだ読みきれません)、中々好みの作品に出会うことができませんでした。
この異常に暑い夏(2012年)のさ中、何十冊もあちこち読み散らかしていい加減うんざりしていた時に、この作品に出合い、ちょっと光が見えたような気分になったのです。ものすごく個人的なことですけども。
作品については裏表紙をそっくり写しますね。
「広告代理店勤務のスマートな男と結婚し、東京で暮らす佐々木蒼子。6回目の結婚記念日は年下の恋人と旅行中・・・・そんな蒼子が自分のそっくり<蒼子B>と出くわした。
彼女は過去の記憶をすっかり共有し、昔の恋人河見と結婚して、真面目な主婦生活を送っていた。全く性格の違う蒼子Aと蒼子B。
ある日、ふたりは入れ替わることを決意した!
誰もが夢見る<もうひとつの人生>の苦悩と歓びを描いた切なくいとおしい恋愛ファンタジー。万華鏡のように美しい小説。」
う~ん、入れ替わるところがミステリー小説のようだけど、これは決してミステリーじゃなくて、いうなれば心理小説というか、心の葛藤を描いています。女性なら誰しも「もしあの時~~を選んだら・・・」という思いを抱くことがあるんじゃないかなぁ。そこを上手く付いたな面白い作品でした。(2012.9.17)