風の詩(うた)

ジェジュンとAB6IXのゆるい音楽レビューを書いています。読書レビューは過去記事です。

「斜陽」「人間失格」「晩年」太宰 治 レビュー

 

先週から日曜日の朝日新聞重松清さんと月に1冊ずつ名作を読む「百年読書会」というのが始まっています。その1冊目が太宰治の「斜陽」で、早速ひっぱり出して読んでみました。

一体いつ何歳の時にこの本を読んだのか、カバーを見てみると、大学へ入った頃だった。
でもほぼ内容を忘れていたので、本当に読んだのか疑わしく思ったほどでした。
あの頃、知り合った大学の友達の部屋にいくと、太宰や大江、三島などが本箱に並んでいたので、真似して買ってみただけなのかとも思ったくらいです。

 

けれども読み進めていくうちに、ところどころ傍線が引いてあり、自分が読んだ形跡がありました。

かすかに、最後の貴族と呼ばれている母親がスウプ(スープ)をすするところの情景を思い出しました。

太宰の化身とも思える弟はその存在すら忘れていたのですが、主人公のかず子がもはや堕落した作家の子を自ら身ごもりたいと願い、それをかなえたことは覚えていました。

ようするに、18歳の私には「斜陽」は全くといっていいほど理解できなかった本だったのでした。

時を経て再読してみると、これが意外にもスラスラ読めて、太宰の心理が理解できるようになっていました。

もっと太宰を知りたく、続けて「人間失格」「晩年」も読み返しててみました。


こちらは太宰の遺書である。太宰の存在、またはこれ以上は存在できなかった理由が、書かれています。

太宰治の自殺の理由は、大金持ちの六男であり両親の愛情不足、自分は器量が悪いと思い込んでいたわりには女性にもてたこと、潔癖症で器用すぎたこと、そしてあの戦争の影響もあるでしょう。

戦争は、あらゆる人間に大きな影響を及ぼすもの。物だけじゃなく、人間を破壊してしまうもの。そういうことが、私もこの年になってやっと理解できるようになった気がしました。

 

「斜陽」の母親も弟もかず子も作家も皆戦争の犠牲者と呼べるのではないでしょうか。母親やかず子を甘いと私には言えません。

さて太宰はどうでしょうか。
太宰は、太宰の心は幼少の頃から回りの人によって壊されていたそうみるしかないのではないでしょうか。

でもしかし「斜陽」の後書きで石川淳さんが書いています。
太宰は善の詩人であったと。そして彼は「義」のために死せりと。
それが真実であると思いたい。

 

2009-04-13