「サイレント・マイノリティ」塩野七生 レビュー
塩野作品はかなり大人になってから読み始めたのですが、私にとっては難解で、おそらく半分ほどしか理解できていないのではないかと思っています。
難解だと思う理由をカバーに書かれているこの本の紹介文で説明してみます。
「みずからの置かれた状況を冷静に把握し、果たすべき役割を完璧に遂行する。しかも皮相で浅薄な価値観に捉われることなく、すべてを醒めた眼で、相対的に見ることができる人間ーーーそれが行動的ペシミスト。「声なき少数派」である彼らの代表として、大声でまかりとおっている「多数派」の「正義」を排し、その神髄と美学を、イタリア・フィレンツェで綴ったメッセージが本書である。」
上は本の紹介文なので、塩野さんが書いたものではありませんが、塩野さんの書き方によく似ているのです。
一読しただけでは何を言っているのかわからないでしょう? でもよく読むと、言っていることがわからないわけではないような気がしますね。
でもすっきり理解できたような気もしない、塩野さんの作品の多くはこんな感じがするのです。
それでも塩野作品を見つけると買い求めてしまうのは、難解さをさしおいても塩野さん自身と作品に強く惹かれるものがあるからなのです。数えてみると今までに14冊読んでいます。これからも読み続けると思います。
さて、この「サイレン・トマイノリティ」は31文からなるカバーの説明によると塩野さんのメッセージです。
イタリア周辺の歴史上の人物や出来事に関することで名前や地名を読むだけで頭がパンクしそうな文もありますが、前から知りたいと思っていたことがふいに出てきたり、美しい景観や素敵な住まいや食事、装い等には惹かれるとても魅力的な1冊でした。
2011-04-07