風の詩(うた)

ジェジュンとAB6IXを中心にK-POPの音楽レビューを書いています。読書レビューは過去記事です。

読書の記録

「ジョゼと虎と魚たち」田辺聖子他レビュー

2009年夏に読んだ本の記録です ・「漱石の妻」鳥越 碧 興味深く、読み物としても面白かったです。 ・「恋する伊勢物語」 俵 万智 ・「春琴抄」谷崎潤一郎 ・「阿寒に立つ」渡辺 淳一 渡辺淳一の高校時代のクラスメイトであった天才少女画家淳子をモデルにし…

「リヴィエラを撃て」髙村 薫 レビュー

第46回日本推理作家協会賞・第11回日本冒険小説協会大賞受賞作品。 これはもう素直に頷けるのですが、それはさておき、ここ最近1,2ヶ月の間に新聞(朝日)で髙村氏の記事を2回は読んでいます。 その一つは新作『太陽を曳く馬』(新潮社)が刊行された際…

ラインマーカーズ」穂村弘 「子らよ 羽ばたけ」秋吉 信子 レビュー

今や押しも押されぬ歌人 穂村弘さんが2003年に出された自薦ベスト版歌集。大半が少女まみと「穂村弘」の対話の形式をとる不思議な歌の数々ですが、私は手放しで全部好きとは言えませんでした。 まみが発している言葉とはいえ、ときどき、いえ度々穂村さ…

「千利休とその妻たち」三浦綾子 レビュー

千利休にまつわる書物は数多くありますが、これは小説として非常に面白かったです。 千利休は大阪 堺の大富豪商人でありながら、生涯 茶の道を追求し続けた偉大な茶人ですが、徳川秀吉の茶頭となったことから秀吉の右腕とも言われるほどになり、少なからず当…

「羅生門」「奉教人の死」他 芥川龍之介レビュー

百円ショップダイソーに「ダイソー文学シリーズ」というのがあり、ここに収められている本が結構いけます。すべて著作権が切れているものなので、ダイソーなりの工夫が施されています。その例を挙げると、まず文庫本なのに巻頭に作者や作品に関する丁寧な写…

「流転の王妃の昭和史」愛新覚羅 浩 レビュー

私はどうも旧満州国に興味があるようです。それは、私の住む北海道にはかつて満州からの引揚者と呼ばれる方が本当に沢山いらして、父方の祖母もその一人だったので身近に感じるからなのかもしれません。 また、こんなことを言ったら笑われるでしょうが、満州…

「ボクの音楽武者修行」小澤征爾 レビュー

言わずと知れた世界のマエストロ小澤 24歳のときのエッセイです。 小澤さんともなると、若くても考えることも行動も桁違いです。「外国の音楽をやるためには、その音楽の生まれた土地、そこに住んでいる人を直に知りたい」と青年小澤はヨーロッパに旅立ち…

「性に目覚める頃」室生犀星 レビュー

室生犀星といえば 「ふるさとは遠きにありて思ふもの そして悲しくうたふもの」 という詩を思い出しますがこれは桃屋のCMで聞いたことがあるという方も多いかもしれませんね。 この詩は「小景異情(その二)」に収められていますが続きはこうです。 ふるさ…

「ジャズと爆弾」中上健次VS村上龍 レビュー

村上龍さんが「限りなく透明に近いブルー」で芥川賞を受賞した後の中上さんとの対談+短編小説+エッセイが収録されています。 龍さんはまだ24歳、中上さんは30歳の頃です。 村上龍は知っていても中上健次を知らない方も多いと思いますが、中上健次さん…

「アヒルと鴨のコインロッカー」伊坂幸太郎 レビュー

伊坂幸太郎さんのデビュー作「オーデュボンの祈り」があまりにも好みだったため、この「アヒルと鴨のコインロッカー」も吉川英治文学新人賞作品だからなどと期待して読んだら、意外にも普通でしたが面白く読みました。 作品中のブータン人の考え、習性などが…

「かすみ草のおねえさん」「短歌の旅」俵万智 レビュー

短歌を始めてからしばしば読み返している俵万智さんの初期のエッセイです。ところどころに置かれている短歌をより深く鑑賞することができます。 歌をこんなにも丁寧に噛み砕いて語ってくれる歌人は他にはいないので、短歌初心者の私にとって、とても有難い本…

「柿本人麻呂ノート」佐佐木 幸綱 他レビュー

大好きな歌人 佐佐木幸綱の柿本人麻呂の評論です。柿本人麻呂は言わずと知れた万葉歌人ですね。こういう本はパラパラと読んだだけでは感想などとても書けないので、ここではこの記録だけに留めておきます。さてこれから何度この本を開くことになるのか、ずっ…

「いつまでもデブと思うなよ」岡田斗司夫 レビュー

作家・評論家であり当時大阪芸大の客員教授でもあった岡田さんですが、私の中では超おデブなオタクおじさんで、どちらかといえば苦手なタイプでした。 ところが2007年自ら編み出したレコーディングダイエットで50キロもの減量に成功し、一躍ヒーローになり…

「慶州ナザレ園」「三つの祖国」上坂冬子 レビュー

2冊ともとても興味深く読みました。 「慶州ナザレ園」は、戦後韓国に残された日本人妻が身を寄せている施設で、そこに住む、あるいは住んでいた一人一人を丁寧に追っているのですが、なぜか、どの方の歴史にも心が痛み惹かれてしまいます。憧れで惹かれるの…

「仮面の告白」「宴のあと」三島由紀夫 レビュー

三島由紀夫が軍服を着て自衛隊のバルコニーで切腹自殺をしたとき、父が本棚から「憂国」を取り出してきたことを覚えています。「憂国」には軍服を着て切腹をしている男の挿絵がありました。切腹自殺は、三島を時代錯誤の狂人のようにもしてしまったのでしょ…

「ハル・ライシャワー」上坂冬子 レビュー

歴代のアメリカの駐日大使のなかでエドウィン・ライシャワーほど日本人になじみがある大使はいないかと思います。 それもそのはず、ライシャワーは宣教師として来日した父(明治学院で神学と英語を教えていた)のもと、日本で生まれました。 一方妻のハルさ…

「悩む力」姜 尚中 他 レビュー

・「悩む力」姜 尚中 非常にわかりやすい本だったので、大学生の次男に読むよう勧めてみたところ、「言っていることはわかるけど、なんで夏目漱石とからめるのかなぁ。そこが気にいらなかった」と言っておりました。私は漱石とからめたところが面白かったの…

「四日間の奇跡」浅倉卓弥 レビュー

「四日間の奇跡」 浅倉 卓弥 第1回「このミステリーがすごい!」大賞 受賞作品です。「このミステリーがすごい」の受賞作品はさすがに外れがなく、面白く読ませてくれますねー。 ことにこの作品は、脳の障害を負った少女(ピアノを弾く)とピアニストの道を…

「恋する短歌」佐藤真由美他 レビュー

しばらく短歌はいいやと思っているのに、買い求める本は短歌や詩、言葉に関するものばかりで年末年始に買ったもののリストです。 ・「恋する短歌」佐藤 真由美 ・「恋する歌音(カノン)」佐藤 真由美 佐藤真由美さんの短歌には なぜかあまり惹かれるものが…

「行人」夏目漱石 レビュー

「行人(こうじん)」夏目漱石 「彼岸過迄」「行人」「こころ」は夏目漱石の朝日の新聞小説で後期三部作に分類されています。 「彼岸過迄が1912年元旦~4月末、「行人」が1912年12月~1913年11月、「こころ」は1914年4月~8月までの連載で、時代は明治から大…

「川のある下町の話」川端康成 レビュー

「川のある下町の話」 川端康成 とても面白く読みました。 感想は後ほど。 . 2010-03-08

「ピアニストという蛮族がいる」中村紘子 レビュー

ピアニストの中村紘子さんが書くものは、どうしてこんなに面白いのでしょうか。ご主人が作家だからというのも関係があるのでしょうか。 まず第一に中村さんにはユーモアがあります。それに取り上げる題材(人)がどれも非常に興味深いです。 古今東西の偉大…

「一豊の妻」永井路子 レビュー

山之内一豊の妻の話て、永井路子さんの歴史小説です。これは永井さんの創作が多く入っていると思われ鵜呑みにすると歴史感が大幅に変ってしまうと感じました。その辺りが田辺聖子さんや渡辺淳一さんの歴史物とは違うと思いました。 一つの物語として読めばい…

「君も雛罌粟(コクリコ) われも雛罌粟(コクリコ)」 渡辺淳一 レビュー

短歌、詩歌にも造詣が深い渡辺淳一さんが書いた与謝野鉄幹、明子夫妻の生涯ですが、すばらしいの一言、感服しました。 感服したのは、与謝野夫妻はもちろんですが渡辺淳一さんのにも感服しました。 渡辺さんの洞察力、筆力 素晴らしい! 与謝野鉄幹と鉄幹を…

本の話。朝日新聞百年読書会(2010年)

朝日新聞 百年読書会 朝日新聞の企画で、作家の重松清さんをナビゲーターに読者が名作を読み継いできた「百年読書会」が3月で終了しました。実に面白くていい企画だったと思います。 作品は 4月『斜陽』太宰治 5月『楢山節考』深沢七郎 6月『あ・うん』…

井上ひさし2冊 レビュー

・「日本語相談」井上ひさし この本を読み始めたすぐ後に井上さんが亡くなったので、少々因縁みたいなものを感じました。 mixiの友だちで井上さんの娘さんと同級生だったという方に、井上家に遊びに行った時の井上さんの様子が聞けたことが今回の訃報のおま…

「ジョゼと虎と魚たち」田辺聖子 レビュー

この短編集は、この春同名の朗読劇にも参加したこともあり、何度も読み返しています。ひょっとしたら以前にも感想を書いているかもしれないですね。読み返す度に田辺さんのファン度が増していきます。田辺さんは大柄ながっしりした男性が好みなのですね。か…

「六の宮の姫君」北村薫 レビュー

芥川龍之介の短編と同名の小説ということで読んだのですが、小説としてはあまり面白くなかったです。 それもそのはずこれは書誌学ミステリーという分野になるのだそうです。 書誌学ミステリー? つまりこの本の場合でいうと芥川が「六の宮の姫君」を書いた意…

歌集 レビュー

歌集3冊の一言コメントです。 ・「寺山修司詩集」寺山修司 これは詩ばかりではなく歌詞や短歌、俳句まで載っていたので、この本に巡り会えたことが嬉しくて仕方なかったです。寺山の短歌が好きです。 ・「レモン哀歌」 高村光太郎 高村光太郎といえば「智恵…

「博士の愛した数式」小川洋子 レビュー

2004年、第1回本屋大賞および第55回読売文学賞 受賞作品。 発売された時から気になっていた小説です。やっと読む機会に恵まれました。先に映画を観ていて、映画もとても良かったのですが、小説は映画よりもさらに良かったです。 登場人物は事故のため記憶が…