風の詩(うた)

ジェジュンとAB6IXを中心にK-POPの音楽レビューを書いています。読書レビューは過去記事です。

2020-01-01から1年間の記事一覧

「それから」夏目漱石 レビュー

漱石の3部作「三四郎」「それから」「門」のうちの二番目の「それから」ですが、主人公 代助は三四郎より「虞美人草」の欽吾に近いと思います。 代助は、今でいうパラサイト、ニートともいえる生活を送っているのですが、それが最も自然で正しいと思ってお…

「チームバチスタの栄光 」海堂 尊 レビュー

2005年第4回「このミステリーがすごい!」大賞に輝いた作品です。 この受賞後 海堂 尊(医学博士)さんは次々とベストセラーを出し続け、その作品はドラマや映画化され大ヒットさせています。 何もいうことがないほど、面白かったです。旅行のお供にもいい…

「話を聞かない男、地図が読めない女」レビュー

随分前にベストセラーになった本ですが、再読しました。 これを読めば、男4人の家で暮らす女一人(私)の大変さが、わかってもらえると思います。 わかってはいたけれど、やっぱり男って、、、気づいてはいたけれど、やっぱり女って、、、みんなそうなのね…

「放浪記」林 芙美子、「布団」田山 花袋 レビュー

森光子さんの「放浪記」の舞台裏の番組を見た後に原作を読んでいたら、田山花袋「布団」、島崎藤村「破壊」も読みたくなりました。 「布団」は本箱にあったのですが!藤村の「破壊」は見つかりませんでした!「破壊」は一度も読んだことがなかったのかもしれ…

「小さな恋のものがたり」みつはし ちかこ レビュー

このチッチとサリーの恋の物語に夢中なったのは、昭和世代の女性だけではないでしょう。 「ちいさな恋のものがたり」はなんと1963年から40年間も毎年5月に発刊されてきました。平成になっても変わらず昭和らしい昭和の匂いがぷんぷんする抒情マンガなので…

「痴人の愛」谷崎潤一郎 レビュー

この本も長い間家の本箱に眠っていました。二十歳の頃に買っていたようです。こういう難しい?本を当時ちゃんと読んでいたのか、否か。正直に言いますと、ちゃんとは読んでいません。でも「ナオミ」という名が妖婦の代名詞というのは、インプットされていま…

「小さな恋の万葉集」上野誠 レビュー

2009年6月14日から1週間、当地の紀伊国屋書店で「万葉集 享受の世界」と題して、國學院大學所蔵の平安時代の写本等の展示会が開かれており、早速出かけてきました。今回見ることができた最も古いものは、平安時代の「元暦校本万葉集断簡(有栖川切)と呼ば…

「黒い雨」井伏鱒二 レビュー

新潮文庫の100冊キャンペーンは1976年に始まったそうですから、私の本好きを決定づけたのはこのキャンペーンのお陰といっても過言ではないかもしれません。この100冊読破を目指して、まずは目についた本から買い求めていた(青春の)日々が懐かしいで…

「白痴」坂口安吾 レビュー

「白痴」は過去に新潮文庫100冊に入っていたと思うのですが、いつからか坂口安吾さんの本はエッセイ集「堕落論」が入っています。「白痴」と「堕落論」(未読です)は同時代(昭和21年)に発表されました。いうまでもなく戦後間もなくの作品で、自由に…

「坊っちゃん」夏目漱石 レビュー

そういえば 夏目漱石の「坊っちゃん」は、きちんと読んでいただろうか、結末はどんなだったかなと思い、手に取りました。 いやぁ、すっごく面白かったです!愛すべきは、ぼっちゃんと清、そして山嵐。 松山の人びとが、田舎者と馬鹿にされていようが、ぼっち…

「斜陽」「人間失格」「晩年」太宰 治 レビュー

先週から日曜日の朝日新聞で重松清さんと月に1冊ずつ名作を読む「百年読書会」というのが始まっています。その1冊目が太宰治の「斜陽」で、早速ひっぱり出して読んでみました。 一体いつ何歳の時にこの本を読んだのか、カバーを見てみると、大学へ入った頃…

「オーデュポンの祈り」伊坂幸太郎 レビュー

第5回新潮ミステリー倶楽部賞受賞作品だそうですが、この作品をミステリーと呼ぶのは似つかわしくないような気がしました。村上春樹さんに似たものを感じました。それと、聖句が出てくるわけではないのですが、作者は聖書をある程度学んだ方だと感じました…

「マークスの山」高村薫 レビュー

「昭和51年南アルプスで撒かれた犯罪の種は16年後、東京で連続殺人として開花した。 精神に<暗い山>を抱える殺人者マークスが跳ぶ。元組員、高級官僚、そしてまた、、、謎の凶器で殺害される被害者。バラバラの被害者を結ぶ糸は?マークスが握る秘密と…

「家計簿の中の昭和」澤地久枝 レビュー

同年代のweb友が紹介していたので図書館で借りて読みました。その友は毎日家計簿を付けているそうですが、家計簿は私も結婚以来ずっと付けています。主婦の何割位が家計簿を付けているのかと思いネットで調べてみたら、約3割だそうです。意外と少ないですね…

「ジョゼと虎と魚たち」田辺聖子他レビュー

2009年夏に読んだ本の記録です ・「漱石の妻」鳥越 碧 興味深く、読み物としても面白かったです。 ・「恋する伊勢物語」 俵 万智 ・「春琴抄」谷崎潤一郎 ・「阿寒に立つ」渡辺 淳一 渡辺淳一の高校時代のクラスメイトであった天才少女画家淳子をモデルにし…

「リヴィエラを撃て」髙村 薫 レビュー

第46回日本推理作家協会賞・第11回日本冒険小説協会大賞受賞作品。 これはもう素直に頷けるのですが、それはさておき、ここ最近1,2ヶ月の間に新聞(朝日)で髙村氏の記事を2回は読んでいます。 その一つは新作『太陽を曳く馬』(新潮社)が刊行された際…

ラインマーカーズ」穂村弘 「子らよ 羽ばたけ」秋吉 信子 レビュー

今や押しも押されぬ歌人 穂村弘さんが2003年に出された自薦ベスト版歌集。大半が少女まみと「穂村弘」の対話の形式をとる不思議な歌の数々ですが、私は手放しで全部好きとは言えませんでした。 まみが発している言葉とはいえ、ときどき、いえ度々穂村さ…

「千利休とその妻たち」三浦綾子 レビュー

千利休にまつわる書物は数多くありますが、これは小説として非常に面白かったです。 千利休は大阪 堺の大富豪商人でありながら、生涯 茶の道を追求し続けた偉大な茶人ですが、徳川秀吉の茶頭となったことから秀吉の右腕とも言われるほどになり、少なからず当…

「羅生門」「奉教人の死」他 芥川龍之介レビュー

百円ショップダイソーに「ダイソー文学シリーズ」というのがあり、ここに収められている本が結構いけます。すべて著作権が切れているものなので、ダイソーなりの工夫が施されています。その例を挙げると、まず文庫本なのに巻頭に作者や作品に関する丁寧な写…

「流転の王妃の昭和史」愛新覚羅 浩 レビュー

私はどうも旧満州国に興味があるようです。それは、私の住む北海道にはかつて満州からの引揚者と呼ばれる方が本当に沢山いらして、父方の祖母もその一人だったので身近に感じるからなのかもしれません。 また、こんなことを言ったら笑われるでしょうが、満州…

「ボクの音楽武者修行」小澤征爾 レビュー

言わずと知れた世界のマエストロ小澤 24歳のときのエッセイです。 小澤さんともなると、若くても考えることも行動も桁違いです。「外国の音楽をやるためには、その音楽の生まれた土地、そこに住んでいる人を直に知りたい」と青年小澤はヨーロッパに旅立ち…

「性に目覚める頃」室生犀星 レビュー

室生犀星といえば 「ふるさとは遠きにありて思ふもの そして悲しくうたふもの」 という詩を思い出しますがこれは桃屋のCMで聞いたことがあるという方も多いかもしれませんね。 この詩は「小景異情(その二)」に収められていますが続きはこうです。 ふるさ…

「ジャズと爆弾」中上健次VS村上龍 レビュー

村上龍さんが「限りなく透明に近いブルー」で芥川賞を受賞した後の中上さんとの対談+短編小説+エッセイが収録されています。 龍さんはまだ24歳、中上さんは30歳の頃です。 村上龍は知っていても中上健次を知らない方も多いと思いますが、中上健次さん…

「アヒルと鴨のコインロッカー」伊坂幸太郎 レビュー

伊坂幸太郎さんのデビュー作「オーデュボンの祈り」があまりにも好みだったため、この「アヒルと鴨のコインロッカー」も吉川英治文学新人賞作品だからなどと期待して読んだら、意外にも普通でしたが面白く読みました。 作品中のブータン人の考え、習性などが…

「かすみ草のおねえさん」「短歌の旅」俵万智 レビュー

短歌を始めてからしばしば読み返している俵万智さんの初期のエッセイです。ところどころに置かれている短歌をより深く鑑賞することができます。 歌をこんなにも丁寧に噛み砕いて語ってくれる歌人は他にはいないので、短歌初心者の私にとって、とても有難い本…

「柿本人麻呂ノート」佐佐木 幸綱 他レビュー

大好きな歌人 佐佐木幸綱の柿本人麻呂の評論です。柿本人麻呂は言わずと知れた万葉歌人ですね。こういう本はパラパラと読んだだけでは感想などとても書けないので、ここではこの記録だけに留めておきます。さてこれから何度この本を開くことになるのか、ずっ…

「いつまでもデブと思うなよ」岡田斗司夫 レビュー

作家・評論家であり当時大阪芸大の客員教授でもあった岡田さんですが、私の中では超おデブなオタクおじさんで、どちらかといえば苦手なタイプでした。 ところが2007年自ら編み出したレコーディングダイエットで50キロもの減量に成功し、一躍ヒーローになり…

「慶州ナザレ園」「三つの祖国」上坂冬子 レビュー

2冊ともとても興味深く読みました。 「慶州ナザレ園」は、戦後韓国に残された日本人妻が身を寄せている施設で、そこに住む、あるいは住んでいた一人一人を丁寧に追っているのですが、なぜか、どの方の歴史にも心が痛み惹かれてしまいます。憧れで惹かれるの…

「仮面の告白」「宴のあと」三島由紀夫 レビュー

三島由紀夫が軍服を着て自衛隊のバルコニーで切腹自殺をしたとき、父が本棚から「憂国」を取り出してきたことを覚えています。「憂国」には軍服を着て切腹をしている男の挿絵がありました。切腹自殺は、三島を時代錯誤の狂人のようにもしてしまったのでしょ…

「重力ピエロ」「陽気なギャングが地球を回す」「グラスホッパー」「チルドレン」伊坂幸太郎 レビュー

2000年 『オーデュボンの祈り』 第5回新潮ミステリー倶楽部賞受賞 2004年 『アヒルと鴨のコインロッカー』 第25回吉川英治文学新人賞受賞 短篇『死神の精度』 第57回日本推理作家協会賞短篇部門を受賞 2008年 『ゴールデンスランバー』 本屋大賞受賞第21回山…